桜蔭塾 第11回講座報告
「お茶の水女子大学の過去・現在・未来」 佐々木 泰子 先生
2022年5月25日
桜蔭塾第11回講演には、お茶の水女子大学学長佐々木泰子先生をお迎えして、「お茶の水女子大学の過去・現在・未来」と題して、お茶大の使命・課題等を講演して頂きました。受講者は70名でした。
お茶の水女子大学の前身「東京女子師範学校」は、官立の高等教育機関として1875年に創立されました。創立当初から女性リーダーを数多く輩出してきた本学は、3年後(令和7年)には150周年を迎えます。
ご講演は、明治時代に本学に学んだ先人の足跡をたどるところから始まりました。まずは、国際的な科学者として活躍された保井コノ氏・黒田チカ氏・辻村みちよ氏・湯浅年子氏について、当時の貴重な写真とともにご紹介いただきました。そして、安井てつ氏をはじめとする女子教育に尽力された先人の紹介に加え、現在も、多くの大学で、本学出身者が学長・副学長として活躍されていることをお話しいただきました。次の話題は、創立時の目的・使命と現在(独法化以後)の目的・使命についてです。創立時はいわゆる「良妻賢母」主義に基づく考えがその根底にありましたが、現在は「学ぶ意欲のあるすべての女性にとって、真摯な夢の実現の場」として本学は存在するとのこと。時代に応じた教育が展開されていることが感じられました。
また、佐々木先生といえば、学長就任以前より、国際的な学術交流を積極的に推進されておられます。そんな佐々木先生ならではのトピックとして、アメリカのセブンシスターズ(アメリカ合衆国東部の名門女子大学の総称 ※現在は共学化している大学もある)との関わりをご紹介いただきました。そして、現在から未来のお茶の水女子大学について、学内寮(音羽館)の新設、共創工学部(仮称)の設置構想、グローバル女性リーダーの育成など、具体的な実行計画をお示しいただきながら、語っていただきました。世界の女性リーダーについての話題も興味深く、本学からも、数多くの女性リーダーが羽ばたくことが期待されるお話でした。
ジェンダーの平等は、日本でも大きな課題です。「ジェンダー平等がなければ、持続的発展はありえない」(UN Women(国連女性機関)2018-2021)ということで、その実現に向けて、私たち一人ひとりが意識することについて、ご示唆をいただき講演会は終了しました。その後、事前にいただいた質問について、ご講演の内容を一部ふり返りながら、トークショーの形でお答えいただきました。
全体を通して、優しく穏やかな佐々木先生のお人柄を感じる講演会となりました。そのうえで、お茶の水女子大学を世界トップレベルの女子大学にしたいと語る先生には、しなやかでありながら強いリーダーシップが感じられました。佐々木泰子先生、本当にありがとうございました。
桜蔭塾サイトの講座報告ページには、出席者の感想等も掲載しています。あわせてお読みください。