2023.4.2

新しくお茶大生になられた皆さん、保護者の皆さま、ご入学おめでとうございます。

つい10日ほど前、お茶大のこの門から、晴れやかな笑みを浮かべた卒業生たちが、日本中へ、そして世界へも巣立っていったばかりです。わたくしたち桜蔭会は、卒業生たちの華やかながらも凛々しい後ろ姿を見送りながら、心の中で「ずーっと見守っていますよ~」という思いでいっぱいでした。

さて、今度は新入生の皆さんをやっぱり「ずーっと見守っていますよ~」です。そこで見守り(お節介?)第一号でまず申し上げたいのは、大学に入学したら大学の提供するものを素直に利用しつくそう、ということです。
授業も勿論魅力的なものがいっぱい(なぜか自分の専門ではない分野に惹かれてしまう授業がありすぎて。。。)、講演会・シンポジウムなどの催し物は、大学側はとってもお金をかけているのに、学生はいくつ参加しても無料なんです。先端的な本学図書館をとことん利用尽くせば語学だって卒論だって趣味だって資格試験だって、お金をかけずに絶対成果があがります。海外留学も援助が手厚いし、機会は沢山提供されます。親切な専門家の常駐する各種相談室もどんどん利用しましょう。

実は同窓会である桜蔭会も大学構内にあり、利用し尽くしたいもののひとつですよ。ほんの一例が、皆さんの就活を応援する“ZoomでOG訪問”です。入学してすぐ直面する「教員免許はとった方がいいのか(1年生から必修科目や教育実習申し込みのことを考えなくてはなりませんから)」「公務員試験はダブルスクールしないとね(という噂)」「アナスクは必要?どこへ行ったらいい?」「実は司法試験を受けたいのだが」「どうしても研究者になりたい!」などなどお悩みあるあるですが、1年生から利用できる桜蔭会“ZoomでOG訪問”で、先輩たちが“ウーマンツーウーマン”で親身に相談に乗ります。何よりもOGたちとのコミュニケーション、楽しいですよ!

最後に付け足しですが、お茶大の置かれているこの都心のロケーションもとことん利用しましょう。意外と使える都バス路線を乗り継いでフル利用もよし。そうそう、歩いてすぐの護国寺へ、入学式の帰りに保護者のかたとご一緒に行かれて、その落ち着いた雰囲気に心も体も一休みされてはいかがですか?夏目漱石の「夢十夜」の“運慶の仁王”でも有名ですが、私はここがモデルと言われ、教科書にも載っていたこの詩の光景を、入学式の帰りに確かめに行きました――。

 甃のうへ  三好達治

あはれ花びらながれ
をみなごに花びらながれ
をみなごしめやかに語らひあゆみ
うららかの跫音(あしおと) 空にながれ
をりふしに瞳をあげて
翳(かげ)りなきみ寺の春をすぎゆくなり
み寺の甍(いらか) みどりにうるほひ
廂々(ひさしびさし)に
風鐸(ふうたく)のすがたしづかなれば
ひとりなる
わが身の影をあゆまする 甃(いし)のうへ

三好達治『測量船』

(『三好達治全集 第一巻』筑摩書房より  *一部振り仮名を付しました)

桜蔭会 会長 髙﨑みどり